昨今ニュースにもしばしば報道される児童虐待、
きっと誰しもが一度はテレビやネットニュースで目にしたことありますよね。
育児に疲労困憊して、たまたま子どもがいわゆるいやいや期で、
大人のコンディションに構わず泣いたり叫んだり、
そして大人もついカッとなって、
事件にいたる場合もあります。
幼児教育に熱心なお父さんお母さんならこの時点で
「いやいや期ではなく、敏感期ですよ」っと突っ込みが入るかもしれませんね。
そうですね。
敏感期です!
「いやいや期」と聞くと煩わしく聞こえますが、
このフレーズを「敏感期」置き換えると少しは違うように感じませんか?
そしてこの「敏感期」はただ単にちょっとしたことで泣いたり、
叫んだりするのではなく、
それなりの理由があって、
そのうえ、実は子どもの成長にとって非常に重要な時期です。
「敏感期」における子どもとの関わり次第で、
この後の子どもの性格と成長も大きく変わります。
◆敏感期とは
一度いやいや期の話に戻ると、日本ではおおむね2歳~3歳の時期を
俗に「いやいや期」と呼んでいますが、
欧米では「Terrible Two」、「Horrible Three」と呼ばれています。
2歳は「Terrible」、3歳は「Horrible」。
どちらも子どもをまるで小さい怪物呼ばわりのような感じではないでしょうか。
もはや、この時期の子どもが親にとって手に負えないのは世界共通の悩みですね。
しかし実は「敏感期」という期間はもっと長いです。
生れた時の0歳から始まり、そしてほとんどは6歳までの期間を「敏感期」と言います。
そしてモンテッソーリ教育理念における「敏感期」は細かくして11の種類から成ります。
今回はこの11の敏感期についてご紹介していきたいと思います。
①秩序の敏感期(2歳~4歳)
この時期では、
物の置き方や置き場所、そして順番に関してのこだわりが現れ始めます。
比較的にわかりやすい現象としまして、例えば保育園や幼稚園の登下校時、
いつもと違う道を通ると不機嫌になったり、泣き始めたり;
いつも遊んでいるおもちゃの置き場所や遊び方が親もしくは友達によって
変えられると怒ったりする場面などをよく目にすると思います。
こういう時に、子どもは決して敢えて相手を困らせようとして泣いてるのではなく、
自分の中にある順序、あり方が乱されたことによってもたらした
不安、怒り
を訴えている行動の現れです。
よく、「こんなことで泣くなよ」と言いたく気持ちはわかりますが、
こういう場合は、
「せっかくきれいに並べたもんね」
「一緒に元に戻そうか」
と気持ちの同調、そして怒りの関心を逸らしてみてください。
②運動(能力)の敏感期(0歳~6歳)
無意識で且つ不規則な動きから、
徐々に自分の意思にしたがって体の動きをコントロールできるようになっていきます。
例えばはじめはつかまり立ちだった1歳前の頃、
徐々に歩きが上手になり、歩くときの手足の動かし方や、
筋肉の使い方が自然と体の神経全体を使って操っていくのがその一つといえます。
③微小物体への興味を示す敏感期(1歳~4歳)
小さな物体に興味を示すことから始まり、それをつかめようとしたり、
つまんだりことによって、
ゆくゆくは手先による細かい運動能力の発達につながります。
例えば、小さい豆をピンセットを使ってつかむことによって、
後々いかにえんぴつをしっかり握って文字や絵をかけるようになるかにつながります。
④優雅さと礼儀正しさに関する敏感期(2歳~6歳)
この時期では、
身近な大人や友達の行動や振る舞いから真似し、学び、
やがて子ども自身も思いやりを持って、
礼儀正しく振る舞うことによって、
内在する人格の成り立ちにつながります。
ですので、日々親や身近な人たちの言動一つ一つが子どものお手本になるため、
言葉遣いや、身動き一つ一つ、丁寧に行っていくことを常に念頭に入れてくださいね。
⑤感覚の敏感期(0歳~6歳)
「視覚・聴覚・味覚・嗅覚・触覚」といった「五感」の刺激を通して、
ほとんどは3歳までには五感をたくさん体験し、
その後6歳までにはこの「五感」の違いをますます鮮明に見分け、
表現できるようになっていきます。
例えば、花はきれいだね。
花びらは柔らかい。
いい香りがする。
風が吹くと葉っぱたちがぶつかり合う音がする。
など、
これらすべてが実体験に基づかないと感じることのできないことばかりです。
⑥書くことに対する敏感期(1歳~4歳)
この時期の子どもは文字と数字に大になる興味を示し、
えんぴつやクレヨンで自分なりに見たものを再現しようとしたりします。
因みにモンッテソーリ教育の発見によると、
「書く能力」は「読む能力」より前に発達します。
ぜひクレヨンやえんぴつを与え、
書くことの楽しさを体験させてあげてください。
⑦読むことに対する敏感期(3歳~5歳)
この時期では、
多くの子どもは親や先生に本を読んでもらうことだけにはもはや満足できず、
覚えた文字や単語を自力で読もうとする行動が目立ちます。
この時期に子どもに文章を読む機会を与えると、
今後の言語の発達や、表現力の発達につながります。
⑧言葉の表現における敏感期(0歳~6歳)
ここでいう言葉の表現は決して子どもが言葉をしゃべれるようになってからのことではなく、
赤ちゃんの頃からの親の声かけ一つ一つ、
実はすべて言葉の表現となる基礎の積み上げになります。
家庭の中、保育園、幼稚園生活の中で、
子どもは一つ一つの単語からフレーズ、そして文章へと、
語彙力と理解力を向上し、言葉の表現がどんどん上手になっていきます。
⑨空間関係に対する敏感期(4歳~6歳)
題名だけだと抽象的に思えるかもしれませんが、
例えば毎日生活する家の中、もしくはその周辺の環境、
道に対する記憶と味方に対する認識のことを指します。
あの赤い屋根の家の次が自分の家。
2つ目の信号を過ぎたらいつも通っているスーパーがある、
など、
記憶の中で距離や空間の感覚を培っていくことを指します。
⑩音楽に対する敏感期(2歳~6歳)
日々周りの音やリズムなどに触れることによって、成長していく敏感期のことをいいます。
よく、0歳から3歳まではリトミック、
その後ピアノ教室に通わせる家庭も少なくないですね。
音楽に対する関心やリズム感も、
決して1日や1年では培うことはできず、
生まれたときからの音楽との触れ合いによって、
少しずつリズム、音の違い、音の楽しさ、美しさなどの感覚を身に着けていくものになります。
⑪算数に対する敏感期(0歳~6歳)
この敏感期というのは、周囲からの補助が大切になります。
日常にあるものを使って、
加算、減算、乗算、除算の概念を身に着けていくことの手助けをしていきます。
例えば、おやつの時間に、
子どもに与えるクッキーの数や、散歩のときに拾うどんぐりの数など、
実は我々の身近に
数字の感覚を鍛える素材がたくさん潜んでいます。
まとめ
いかがですか?
いわゆる子どものいやいや期は、
実はすべて子どもが‛いやいや’する理由があります。
これらをうまく応用していけば、ただ単に‛いやいや期’として終わることなく、
むしろ子どもの知能・機能の発達につながる貴重な時期として共に過ごすことができます。
今後はこの敏感期の中で詳しくどのようにすれば
もっとうまく子どもの成長・発達を親が手軽に手伝うことができるのか
を紹介していきたいと思いますので、
引き続き楽しみにして頂けるとうれしいです。