モンテッソーリ教育理念の中で、Control of Errorという非常に重要な理念があります。
直訳すると、「間違いの制御」となりますが、
一般的にはこどもの「間違いの自己訂正」能力のことを指します。
今回はこの「間違いの自己訂正」について少しお付き合いください。
間違いの自己訂正とは
みなさん、
子どもがなにかをしようとした時、
ついつい手伝いたくなったことはありませんか?
なにかを作ろうとした時、
ついつい、
間違ってないか、と直そうとしたことはありませんか?
人間というのはプログラミングされたロボットと違って、
1つのことをするのに、
初めから完璧にこなせる人間なんていないです。
大人の私たちからすると、
子どもたちがこなす行動一つ一つを、
大丈夫かな?
こうしちゃダメよ!
パパ/ママがやってあげようか?
と、
ついつい手伝いたくなったこともきっと多々ありますよね。
実は無意識のうちに、大人の”善意“によって子どもの自然な発達が阻まれていたのです。
私たち人間は誰しもが小さいころから、
あらゆる誤ちやつまずきを経験し、
新たな気づきや思いつきを生み出していくようにできています。
間違いを理解し、
何度か失敗や挫折を経験してから
やがて慣れたことをスムーズにできるようになっていくものです。
行動を起こす前に、
もし常に誰か自分より知見のある人が側で正しいやり方を教えてくれるとしたら、
まだ自分でやり方を模索したいと思いますか?
きっと思わないでしょう。
だって、人に聞けば良いのですから。
待てばきっと誰かが助けてくれるから。
そう思うようになってしまいますよね。
自己訂正と運動機能との関係
子どもが自己訂正を通して成長していく過程、
実は体の運動機能にも大きな関わりを持っています。
赤ちゃんのひとり立ちを思い出してみてください。
初めてひとり立ちをしようとした時、
体のバランスをどうとれば良いのかがわからず、足がふらつき、
数秒立てたとしても、すぐ尻もちをついたりしますよね。
小鹿や仔馬のように、生まれてその日に自力で立つのはおろか、
歩くなんてもってのほか。
しかし人間の子どもでも‛学習’はします!
一度尻もちをついてから、
なにかにつかまらなきゃと気づき、
次はベッドの淵や椅子につかまり、
嬉しそうに立つ赤ちゃんを見たことはありませんか?
一度や二度はできなかったことでも、
試行錯誤を繰り返していくうちに、
どのようにしたら安定した立ち方を保てるのか、
どのくらいの歩幅であればより早く歩けるのか、
正しい且つ効率の良いやり方を自力で気づき、
こうして体が脳からの指令を受け、
かつ反復運動していくうちに、脳からの指令を出したあと、
体の神経と筋肉も動き方を覚えていきます。
大人がいちいち手助けしたりせずに、
子どもに自力で挑戦する「チャンス」を与え、
このチャンスを通して、子どもは自力で考え方や動きを訂正し、
自力で困難を一つ一つを乗り越える能力も身につけていけます。
自己訂正を身につけるための環境づくり
一言「大人が手助けをしない」と言っても、
「傍観」するわけではありません。
普段の生活の中で子どもが安心して自力で「チャレンジ」できるよう、
大人たちは身の回りの環境を整ってあげることができます。
例えば、
普段よく使うクレヨンや画用紙はできるだけ子どもの身長でも容易に届く場所に置きましょう。
そうすると、絵を描きたいときは自分で取らせ、
描き終わると、子どもが自力で片付けをすることができます。
常温の水や割れにくいコップも、
子どもが飲みたいときに自力で飲めるように、なるべく低い場所に置いたり、
こぼしても自力で水を拭けるように、近くにタオルを置くなどの工夫をしてみましょう。
椅子やテーブルも子どもの身長に合わせ、
なるべく子どもでも自力で持ち上げられるものにしましょう。
そうすると、
子どもが自力で机や椅子を好きな場所に移動させることが簡単にでき、
例え倒しても子どもがケガをする心配も大いに減ります。
このようにして、
大人たちの一工夫で、
子どもに自らの力で様々なことをチャレンジさせる機会を与えることができます。
人間は誰しもが「間違いの自己訂正」を通して成長していきます。
今私たち大人ができることは決して「やってあげる」ことではなく、
「やらせてあげる」ことが重要です。
自力で間違いを体験し、自力で軌道修正し、正しいやり方を見出すためにも、
大人は助けてあげるのではなく、
環境とチャンスを与えてあげることからぜひ実践してみてください。